2025/02/27 09:01
年々増加する墓じまい。
2022年では2004年の約2倍の15万件もされたと報告されています(「墓じまい件数の動向」を参照)。
墓じまいを行う背景には図のように「後継者不足(40%)」「経済的負担(30%)」「家族の移住(15%)」「その他[現代的な埋葬方法への移行など](15%)」が考えられているようです。このような背景から、今後ますますの墓じまいが想定されそうです。
ここでは墓じまいをする方法と必要な手続きについてお答えします。墓じまいは、墓を閉鎖して遺骨を別の場所に移す、あるいは処分するプロセスで、日本では後継者不足や経済的理由から増えています。以下に、ステップごとの手順と注意点を詳しく説明します。
墓じまいは家族の歴史や伝統に関わるため、まず親族間で合意を形成することが重要です。特に、墓に眠る故人の遺志や宗教的な価値観を尊重する必要があります。
明確な手続きはありませんが、家族会議を開き、墓じまいの理由(例: 後継者不在、維持費の負担、遠方にあるなど)を共有します。反対意見が出る場合もあるので、時間をかけて話し合うことが大切です。
墓は個人所有ではなく、寺院や自治体などの管理者に使用権が紐づいています。墓じまいには管理者の許可が必要です。
(a)墓地が寺院にある場合
住職や寺務所に連絡し、墓じまいの意向を伝えます。離檀料(寺との縁を切る費用)が求められる場合があります(数万円~数十万円)。
(b)墓地が公営の場合
市区町村の墓地管理窓口に連絡します。使用権の返還手続きが必要です。
<必要なもの>
墓地使用権の証明書(契約書や使用許可証)、身分証明書。
<注意点>
寺院の場合、過去の寄付や関係性で金額が変わることがあります。事前に見積もりを確認しましょう。
墓じまい後、遺骨をどうするかを決める必要があります。以下のような選択肢によってその後の手続きが変わります。
(a)別の墓地や納骨堂へ移動
新しい場所を契約し、移動先の管理者に連絡。契約費用(数十万円~数百万円)がかかります。
(b)永代供養墓へ移す
寺院や霊園が提供する永代供養墓を選び、供養料(10万円~50万円程度)を支払います。
(c)散骨
海や山での散骨を選ぶ場合、専門業者に依頼(5万円~30万円程度)。自治体の条例を確認し、私有地以外での散骨は許可が不要な場合が多いです。
(d)自宅保管
骨壷を自宅で保管する場合、新たな手続きは不要です。
<必要なもの※(a)のみ>
新しい安置先の契約書や受け入れ証明書。
※お骨を別の新たな墓地や納骨堂に移動する場合のみ
遺骨を墓から掘り起こして移動するには、法律上「改葬許可」が必要です(墓地、埋葬等に関する法律 第5条)。現在の墓地がある市区町村の役所に「改葬許可申請書」を提出します。
申請には以下の書類が必要です(手数料は無料または数百円程度)。
-改葬許可申請書(役所で入手可)
-墓地使用者の身分証明書(運転免許証やパスポートのコピー)
-墓地使用権の証明書(管理者が発行)
-遺骨の受け入れ証明書(新しい安置先が発行※お骨を別の新たな墓地や納骨堂に移動する場合のみ)
-死亡者の死亡証明書や戸籍謄本(場合による)
複数の遺骨がある場合、それぞれに許可が必要です。申請から許可まで数日~1週間程度かかります。
許可が下りたら、墓石を撤去し、遺骨を取り出します。
石材店に依頼し、墓石の撤去と遺骨の取り出しを手配します。費用は墓の大きさや場所により異なり、20万円~100万円程度が目安。
寺院の場合は、閉眼供養(魂抜きの儀式)が行われることがあり、別途お布施(1万円~5万円程度)が必要です。
改葬許可証(原本)、撤去業者の見積書。
寺院の場合は、石材店に指定の業者があるため、事前に確認することを推奨します。
取り出した遺骨を新しい場所に移し、納骨します。
遺骨を新しい安置先に運び、納骨。移動は自分で運ぶか、業者に依頼(費用: 数千円~数万円)。
納骨時に法要を行う場合、僧侶に依頼し、お布施を用意(1万円~5万円程度)。
改葬許可証、遺骨、新しい安置先の契約書。
ご遺骨の移動には輸送手段も考えられますが、その場合日本郵政「ゆうパック」のみが利用可能です。ただし、送り方には注意点がいくつかありますので、詳しくは日本郵政までお問い合わせください。
墓じまいが完了したら、元の墓地の使用権を正式に返還し、手続きを終えます。
墓地管理者に撤去完了を報告し、使用権の返還を申請。
公営墓地の場合、役所に終了届を提出する場合があります。
撤去完了の証明書(石材店や寺院が発行する場合あり)。
寺院との関係を完全に終える場合、離檀の意思を明確に伝えることが重要です。
総額30万円~150万円程度(墓の規模や移動先による)。
(内訳)
-撤去費用: 20万円~100万円
-離檀料/お布施: 数万円~数十万円
-新しい安置先: 10万円~数百万円
-移動費用: 数千円~数万円
墓じまいをするには、家族での話し合いから始め、墓地管理者との相談、遺骨の安置先決定、改葬許可申請、墓の撤去と移動、墓地使用権の返還という手順を踏みます。各ステップで必要な書類や費用を準備し、専門家(石材店や葬儀社)の協力を得るのがスムーズです。状況によって手続きが異なる場合もあるので、まずは墓地管理者に確認することをお勧めします。
墓じまいの際の離檀料は、法的に支払う義務はありません。したがって、支払わなくても法律上問題はないです。ただし、寺院が離檀料を請求してきた場合、支払わないと実務上のトラブルが生じる可能性があります。例えば、寺院が墓じまいに必要な書類(墓地使用権の証明書など)の発行を渋ったり、手続きの協力を得られなかったりすることがあります。そのため、状況に応じて支払うか、交渉して解決するかを検討するのが現実的です。
●具体的なポイント
<法的な立場>
離檀料は寺院と檀家(家族)の間の慣習的なもので、民法上の契約がない限り強制力はありません。日本では宗教活動に関する自由が保障されており(憲法第20条)、支払いを拒否しても罰則はありません。
<実務上の影響>
寺院が「離檀料を払わないなら協力をしない」と主張する場合、改葬許可申請に必要な書類が得られず、手続きが遅れるリスクがあります。
<解決策(寺院が「離檀料を払わないなら協力をしない」と主張する場合)>
(1)交渉
離檀料の金額を減らすよう話し合うか、支払いの代わりに別の形でお礼(例: お布施)を提案する。
(2)法的対応
寺院が書類発行を拒む場合、消費者センターや弁護士に相談し、必要に応じて地方自治体に介入を依頼する。
(3)支払う選択
トラブルを避けるため、少額であれば支払うのも一つの手です(相場は5万~50万円程度)。
●注意点
寺院との関係性や地域の慣習によって対応が異なるため、まずは寺院に意向を伝え、離檀料の有無と金額を確認しましょう。支払わない場合は、改葬許可申請に必要な書類を自分で準備できるか確認することも重要です。
離檀料は支払わなくても法的に問題はありませんが、ここは慣習やしきたりに敬意を払い、基本的には支払うことを前提に、寺院との交渉や状況に応じた柔軟な対応がおすすめです。
墓じまいの際に閉眼供養(へいがんくよう)を断ることは可能です。閉眼供養は法的に義務付けられた手続きではなく、宗教的・慣習的な儀式の一つに過ぎません。したがって、断っても法律上の問題は生じませんし、墓じまい自体を進めることはできます。ただし、寺院や家族の意向によっては、実務上や感情上のトラブルが発生する可能性があるため、状況に応じた対応が必要です。
<閉眼供養とは>
墓石や仏壇から「魂を抜く」ための仏教の儀式で、墓じまいの際に僧侶が読経を行い、墓を単なる石に戻す意味合いがあります。通常、お布施として1万円~5万円程度が求められます。
<法的義務>
閉眼供養は「墓地、埋葬等に関する法律」などの法令では要求されておらず、宗教的な任意の儀式です。改葬許可申請や墓石の撤去に必須ではありません。
(ア)寺院の反応
寺院が管理する墓地の場合、閉眼供養を断ると寺院が不快に感じ、協力が得にくくなる可能性があります(例: 必要な書類の発行が遅れるなど)。
(イ)家族の意見
親族が伝統を重視する場合、断ることで意見の対立が生じる恐れがあります。
<断る場合の解決策>
(1)寺院との交渉
「宗教的な理由で不要」「費用を抑えたい」と丁寧に伝え、理解を求める。代替として、少額のお布施を渡すのも一案。
(2)自分で対応
僧侶を呼ばず、家族で簡単なお別れの儀式を行うことも可能。法要なしで撤去を進める人も増えています。
(3)書類の確認
寺院が改葬許可申請に必要な書類(墓地使用権の証明書など)を発行する義務があるか確認し、拒否された場合は自治体や消費者センターに相談。
寺院が墓地管理者である場合、閉眼供養を断ることで関係が悪化し、手続きがスムーズに進まなくなるリスクがあります。事前に寺院の意向を確認し、「閉眼供養なしでも手続きを進められるか」を明確にしておくと安心です。
家族や親族の感情も考慮し、事前に話し合っておくのが賢明です。
閉眼供養は断っても法律上問題なく、墓じまいを進めることは可能ですが、ここは慣習やしきたりに敬意を払い、基本的には支払うことを前提に、寺院や家族との関係性を考慮し、トラブルを避けるために丁寧な説明や代替案を用意することをおすすめします。
墓じまいの手続きが煩雑で大変なのは、複数の機関とのやり取りや書類の準備、法律やルールの複雑さが原因です。しかし、以下のようなルール変更が行われれば、手続きは簡単で楽になるでしょう。自治体や国に提案を行いたいところです。
1. ワンストップサービスの導入
現在、墓じまいには自治体、霊園・墓地、業者など複数の窓口を回る必要があります。これを1つの窓口で全ての手続きが完結するワンストップサービスに変更すれば、利用者は一度の申請で済み、負担が大幅に軽減されます。例えば、自治体が申請を受け付け、霊園・墓地や業者との調整を代行する仕組みが考えられます。
2. 手続きのデジタル化
書類の提出や申請をオンラインで完結できるシステムを導入することで、役所や霊園への訪問が不要になります。さらに、進捗状況をウェブ上で確認できるようにすれば、自宅から手続きを進められ、時間と労力を節約できます。これにより、書類の紛失や提出漏れも防げ、手続きの透明性も向上します。
3. 法律やルールの簡素化
墓地埋葬法などの関連法規を見直し、手続きを簡素化することが効果的です。例えば、遺骨の移転に関する許可手続きを緩和したり、必要書類を減らすなどの措置が考えられます。これにより、煩雑な法的手続きが減り、利用者の負担が軽減されます。
4. 費用の透明化と補助制度の導入
墓じまいに必要な費用の目安を明確にし、費用の透明性を高めることで、利用者が事前に準備しやすくなります。また、補助金や助成金を導入すれば、経済的な負担が軽減され、墓じまいを決断しやすくなります。
これらのルール変更により、墓じまいの手続きは大幅に簡素化され、利用者にとって簡単で楽なものになるでしょう。特に、ワンストップサービスとデジタル化の導入は、煩雑さを解消する鍵となります。これらの改善策が実現すれば、墓じまいがより身近で取り組みやすい選択肢となるはずです。
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