2025/04/02 13:39
“ショーケン”こと萩原健一(はぎわら けんいち)さんが亡くなってから今年で6年目になります。
萩原健一(1950年7月26日 - 2019年3月26日)さんは、日本の俳優であり歌手で、「ショーケン」という愛称で広く親しまれた人物です。本名は萩原敬三(はぎわら けいぞう)。彼は音楽と演技の両方で活躍し、特に1960年代から70年代の日本のエンターテインメント界において独自の存在感を放ちました。その生涯は波乱に満ち、カリスマ性と破天荒な生き方で多くの人々に強い印象を残しました。
そんな七回忌に際するタイミングで、萩原健一さんの周りでちょっとした問題が露呈されました。
3/26(水) 17:00配信のNEWSポストセブンの情報によると、今も萩原さん側のご親族は萩原さんのお墓の場所もわからないようです。以下該当箇所をそのまま引用いたします。
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萩原さんの葬儀は冨田が執り行ない、Aさん含めた萩原家側の親族は弟の臨終に立ち会えなかったという。そして、弟が天国へと旅立って6年が経った現在も、「七回忌の法要も、連絡がないから、あるかどうかもわからない」と打ち明ける。
「お墓もどこにあるのかわからないから、拝んでやる場所がないんだ。だから弟の写真だけは家に飾って、ここでいつも手を合わせているんだよ」(Aさん)
3/26(水) 17:00配信のNEWSポストセブンより
*引用部分の補足*
冨田 :萩原さんの妻の冨田リカさん
Aさん :萩原さんの実兄
生前に萩原さんと萩原家側とで、あるいは冨田さん側と萩原家側とでどのようなことがあったか分かりませんが、没後6年も経った今も、墓前で手を合わすことすら許されていないのは厳しいことのように感じますが、それは萩原さんあるいは冨田さん側の意向なので、それはもちろん尊重されるべきです。
ただ、萩原健一さんはかなりの著名人だったため、そのお墓のありかがどこかから知れ渡ってしまう可能性は多分に考えられそうです。
萩原さんのような著名人のお墓を特定して、SNS等で公開するのは犯罪になるのでしょうか?
原則として、著名人のお墓の住所を公開するだけでは犯罪にはならない可能性が高いようですが、状況や公開の仕方によっては法的な問題や民事上の責任が発生するリスクがあるようです。以下に詳しく解説します。
1. 個人情報保護法との関係
個人情報保護法は「生きている個人」を対象とするため、故人のお墓の住所そのものは直接的に保護対象ではありません。著名人の場合でも、故人であればこの法律の適用外です。
ただし、お墓の住所から遺族のプライバシー(例えば居住地や身元)が特定される場合、遺族の個人情報侵害として間接的に問題になる可能性があります。
2. 刑法上の可能性
<名誉毀損罪(刑法230条)> お墓の住所を公開する行為自体は名誉毀損には該当しにくいですが、公開時に「こんな場所に埋まっているなんてみっともない」などと故人や遺族を貶める表現を伴う場合、名誉毀損罪が成立する可能性があります。罰則は「3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金」。
ただし、故人そのものに対する名誉毀損は成立しないため、遺族が名誉を傷つけられたと感じる場合に限られます。
<侮辱罪(刑法231条)> 悪意を持って故人や遺族を侮辱する意図で公開した場合、侮辱罪に問われる可能性があります。罰則は「1年以下の懲役もしくは禁錮または30万円以下の罰金」。
3. 民法上の不法行為(プライバシー侵害)
著名人であっても、遺族が「お墓の場所を公開しないでほしい」と明確に意思表示している場合、それを無視して公開すると、遺族のプライバシー侵害や精神的苦痛を理由に民法709条(※)に基づく損害賠償請求を受ける可能性があります。
ただし、著名人の場合、生前から公に知られている情報が多いため、お墓の場所もある程度「公的関心事」とみなされる可能性があります。この場合、プライバシー侵害として認められるハードルは一般人より高くなる傾向があります。
(※)民法709条
民法709条では、「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」とされています。これは故意(わざと)または過失(うっかりミス)で他人の権利や法律で守られている利益を侵害した人は、その結果生じた損害を賠償しなければならないことを示しています。
この条文をポイントに分解して解説してみます。
1. 故意または過失
<故意>
意図的に他人を害する行為(例:殴る、嘘をついて騙す)。
<過失>
注意不足でうっかり他人を害する行為(例:運転中に脇見をして事故を起こす)。
2. 他人の権利または法律上保護される利益
<権利>
生命、身体、財産、名誉、プライバシーなど。
<法律上保護される利益>
明確な権利ではないが、法律で守られるべきとされるもの(例:平穏な生活を送る利益)。
3. 損害を賠償する責任
侵害によって相手に損害(金銭的損失、精神的苦痛など)が発生した場合、その補償をする義務が生じます。
●民法709条に基づく賠償請求の成立要件
民法709条に基づく賠償請求が認められるには、以下の4つの要件が必要です。
(ア)違法性:行為が法律に反していること。
(イ)故意または過失:加害者に責任があること。
(ウ)損害の発生:被害者に実際の損害が生じていること。
(エ)因果関係:行為と損害の間に因果関係があること。
4. 公表されている情報のケース
著名人のお墓がすでに公に知られている場合(例:ガイドブックに載っている、観光地化している、メディアで報道済み)であれば、第三者がSNSでその情報を共有しても法的な問題になる可能性は極めて低いです。例えば、夏目漱石や坂本龍馬のお墓のように、場所が広く知られているケースでは、公開自体に問題はありません。
5. SNSの規約違反
法律とは別に、SNSプラットフォーム(例えばX)の利用規約に抵触する可能性があります。個人情報やプライバシーを侵害する投稿と判断されれば、投稿の削除やアカウント凍結の対象になることがあります。
ケース1:単に「著名人のお墓はここ」と事実を公開 それ自体は犯罪になりにくいです。特に、すでに公表されている場所であれば問題はほぼありません。ただし、遺族が非公開を望んでいる場合は民事上のトラブル(損害賠償請求)のリスクがあります。
ケース2:悪意を持って「こんな汚い場所にいるなんて」と公開 名誉毀損や侮辱罪に該当する可能性が出てきます(刑法上のリスク)。
ケース3:遺族が「公開しないで」と明示しているのに公開 遺族の意思を無視した行為として、民法上の不法行為責任を問われる可能性があります。
●著名人の場合の特殊性
<パブリックフィギュア論>
著名人は生前、公人として扱われることが多く、死後もその情報がある程度公開されやすい傾向があります。裁判所でも、著名人のプライバシー権は一般人に比べて制限されると判断される場合があります。
著名人のお墓はファンにとって「聖地巡礼」の対象となることがあり、場所が公開されることは珍しくありません(例:ジョン・レノンやエルビス・プレスリーの墓)。
お墓の所在について、すでに公表されている情報であれば、公開しても法的なリスクは低そうです。
ただし、遺族が非公開を望んでいる場合や、情報が意図的に隠されている場合は、公開前に慎重に判断し、可能なら遺族の意向を確認するのが安全です。
少なくとも悪意や侮辱的な意図を伴う投稿は避けるべきで、法的トラブルだけでなく、社会的批判を招く可能性もあります。
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